「膝の怪我はどうして長引くのか?」
全4回に渡ってお伝えしていきます。
❶膝の怪我はどうして起こるのか?
❷膝の怪我をするとどうなるのか?
❸膝の怪我はどうして長引くのか?
❹膝の怪我はどうしたら治るのか?
今回は、❶膝の怪我はどうして起こるのか?です
膝の怪我は年代、環境、生活習慣により怪我の原因が様々です。
年代別の主な膝痛の例をお伝えします。
◆年代別
【10歳代】
オスグッドシュラッター病
有痛性分裂膝蓋骨
離断性骨軟骨炎
シンディングラーセン・ヨハンソン病
【10〜20歳代】
膝蓋骨軟化症
滑膜ヒダ障害
膝蓋骨脱臼
骨肉腫
【10〜30歳代】
ジャンパーズニー
【10〜60歳代】
靭帯損傷
半月板損傷
【20〜60歳代】
関節リウマチ
【40〜70歳以上】
変形性膝関節症
【60〜70歳代】
偽痛風
特発性骨壊死
◆環境
生活環境や急激な環境変化による物理的作用が運動機能に影響を及ぼします。
・傾斜、段差など膝にかかる負担の増減
・路面摩擦の増減
・施設、用具の変更
・夜間の運動による明暗の視覚作用
・住環境と周辺施設との距離(自動車移動の増減)
・家族構成(育児や介護の有無)
◆生活習慣
・職業、競技種目
・活動頻度
・運動強度
・アルコール摂取、喫煙習慣
・薬物服用習慣(ステロイドなど)
・乗り物移動
これらの原因から膝関節に生じる内的、外的要因が変化して膝痛が発生します。
よって自覚症状が痛みだったとしても、多角的初見から判別する必要があります。
今回のテーマは「膝の怪我はなぜ長引くのか」というテーマなので、その中でも怪我に焦点を当てて詳しく解説します。
膝関節はその安定性の大部分を関節膜、靭帯、半月板、筋肉の軟部組織によって支えています。
そのため、怪我に於いては骨折による損傷よりも、軟部組織の損傷が多い特徴があります。
隣接関節(股関節や脛腓関節、足関節)の可動域制限が生じている状態では特に損傷を招きやすくなります。
受傷を複数回経験している方や進行性の傷害を抱えている方は、この状況を以下に減らせるかが回復や進行を遅らせる手掛かりとなります。
❷膝は怪我するとどうなるのか?です
怪我をした膝は靭帯や筋肉の支持性が低下して不安定になります。
結論を先にお伝えすると、痛みで歩行困難となります。
私自身が経験した実例ですが、靭帯が断裂した状態のまま生活すると、残りの靭帯や半月板、軟骨に加わる負担(身長率や圧力)が増加します。
増加の割合は以下の通りです。
膝は立ち上がると体重が加わる関節です。
【健常者】
歩行時は平地で体重の3〜4倍
階段昇降時で体重の6〜7倍
【O脚変形している膝】
健常者の3倍
上記のように膝が支える体重が増すので、関節の支点が偏り軟骨の摩耗が進行して膝が体重を支えるが困難となると、感覚受容器が異常を感知して炎症が発生し腫れや痛みを自覚します。
その結果、痛みによって動かすことが困難となり、日常生活では、歩行困難となります。
上記の理由から、安静期間や保存療法、手術を受けることが選択されます。
大切なことは「原因となる負担を解決しないと進行する」ということを理解することです。
❸膝は怪我はどうして長引くのか?です
怪我をした膝は靭帯や筋肉の支持性が低下して不安定になります。
足首や手首など四肢の先端部と比較すると長引く、後遺症が残りやすいです。
理由は、
1)靭帯や筋肉、軟骨損傷が発生すると関節を安定させることが困難となる。
2)不随意(無意識)で動的安定性が崩れたを動きを繰り返してしまう🟰膝関節に負担をかけ続けてしまう。
3)痛くさや不安感から体重をほとんど掛けなくなる。
動作中に不安定になると、関節を保護するため筋肉が収縮して関節を動かさないように硬くなります。
結果的に脚部がO脚に変形して膝関節の内側に荷重が偏り、軟骨の摩耗が進行して「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」という疾患になりやすくなります。
ここまで進行すると自然治癒は期待しづらく、日常生活では歩行、階段昇降、しゃがみ込み、正座が困難となります。
膝の痛みは2〜3日で回復しない場合は、早期に医療機関を受診して検査結果に基づいた処置を受けることをお勧めいたします。
受傷原因と長引く原因の両方には、共通することがあります…
それは、体幹部(胴体)や股関節、足関節、足部の傾きや捻れの影響が大きく反映されてしまうということです。
❹膝は怪我はどうしたら治るのか?です
怪我をした膝は靭帯や筋肉の支持性が低下して不安定になります。
足首や手首など四肢の先端部と比較すると長引きやすく、かつ後遺症が残りやすいです。
❸でお伝えしましたが、膝の怪我は長期化しやすく、かつ後遺症が残り進行しやすいため、治すためには、自己修復が困難であれば、まずその部位を手術により修復術で機能回復させることです。
ここからが大切ですが、手術が成功すれば完治ではありません。
大切なことは手術が成功してから、膝関節に負担をかけない動きを身体が不随意(無意識)で可能な状態となり、それを維持していくことです。
ですので、一度受傷した膝関節は、膝のみならず全身から膝に負担を掛ける運動連鎖を調べて日常生活から競技まで想定される負担を回避するため動的安定性を獲得するための動作訓練を反復する必要になります。
これは私が実際に体験した経験から述べると、違和感のある苦手な動きを短くて数週間、長くて1年に渡り継続して行うため、途中で諦めたくなる方もいらっしゃるかと思います。
しかし一度諦めてしまうと、身体の負担が増えて日常の活動が消極的になり、身体の内外の機能や精神的な意欲まで低下していきます。
自分の経験知識だけで健康維持することは困難が伴いますので、あらゆる専門職からの包括的な支援を受けて日常生活から社会復帰まで計画的に組織修復と機能回復を実現することが望ましいと考えます。
社会復帰が実現した後も、日常的に加わる負担がありますので、膝関節を中心に全体的な負担の習慣を調べて、自動車点検のようにセルフケア内容を確認する点検整備が重要です。
ここまで進行すると自然治癒は期待しづらく、日常生活では歩行、階段昇降、しゃがみ込み、正座が困難となります。
膝の痛みは2〜3日で回復しない場合は、早期に医療機関を受診して検査結果に基づいた処置を受けることをお勧めいたします。
受傷原因と長引く原因の両方には、ある共通することがあります…
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